7回目 「上書き保存」で起きるリスクとその対策
Ctrl + S で上書き保存っと…。
(あ、先月に打ち込んだデータ消えた)
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むやみに編集中のファイルを上書き保存しまくると、次のことが起こるかもしれません。
- 間違った内容で上書き保存してしまい、取り返しがつかなくなる
- 編集前のデータが失われる
- 「ファイルの作り直し」という無駄な作業が発生する
よくパソコン教室では、ドキュメントファイルなどを編集するときに、なにか1つ編集したときに「今回編集した内容はちゃんと上書き保存しましょう」と教えてくれます。
実際には保存することは良いことなのですが、もし間違えていた場合その情報までもが保存されてしまうので、そこは厄介な点であると言えます。
だからといって現在編集しているファイルを上書き保存してしまう必要はないのです。
○進捗率毎に別々に別名保存していく
ファイル編集では、なにもその編集中のファイルのみしか使えないわけではありません。
ファイルの編集中は上書き保存ではなく、新たに別名の「名前を付けて保存」することによって上書き保存によるアクシデントを防ぐことができます。
ファイルAでなにかしらの編集を作業し終わった時にファイルAを別名で(ファイルAーα,β)で保存していくということです。
図
ファイルA(編集中) - ファイルA-α
|_ ファイルA-β
つまりこの方法を使えばファイルAの編集前データは「ファイルA」のままでデータは残り、ファイルA-α、ファイルA-βはそれぞれ別の編集後のファイルとして保存されます。
そして編集した内容ごとにファイルを分ける方法なので、上書き保存で編集前のデータが失われることを防ぐことができます。
これは言い換えるならファイルを編集ごとにバージョン分けしていく作り方でもあります。
例えばアプリケーションは少しの内容が変化しただけでバージョンアップ(Ver1.0→Ver1.5など)をアナウンスしますが、その方法と同じやり方でファイル編集作業をしていくというわけです。
この方法はシステム開発工程で言う「保守・管理」と同じような手法であり、リリースされている成果物にさらに変更・更新など手が加えられた場合、以前のバージョンを引き継いで新たな内容が更新されていくわけです。
更新内容ごとにバージョン分けすると、同時に自然とバックアップの作業をしているのです。バックアップはファイルをコピーして非常時には復元できるようにするためにおこなう手法なのですが、ファイル編集と同時にバックアップをしてしまえばそのあとの編集ファイルの管理が容易になります。
○ファイル編集時は試作をつくり、最後に完成を作る
ファイル編集はある程度編集し終えたら、そのまま完成形まで走っていくのではなく、プロトタイプつまり試作の形で1回ストップすることをおすすめします。
試作の段階でいちど踏みとどまることにより、そこから急な内容変更があったとしても対応することが可能です。そしていろいろな変更が起きたあとに最終形として完成させていきます。
また試作からも派生して、別パターンに対応し変更していった完成形というものも用意することが可能です。
○場合によってはファイルを復元することも可能
最後になりますが例えばOffice系のアプリケーションでドキュメントファイルを編集中には、アプリケーション側の設定で自動的にバックアップするという方法もあります。
これはもし編集中にファイルが何らかの処理でクラッシュしてしまった場合、パソコン側が回復用にファイルを復元できる形を用意しているということです。また、編集ファイルを何分間隔で自動的にバックアップ保存するかの選択も自分で決めておくことができるので、もし何らかの形で復元したい場合にこのバックアップ保存は役立つでしょう。
↓下記のリンク先の内容などを事前に知識に入れておけばもしもの場合でも対応できるでしょう。
上書き保存してしまったデータの復元方法 | データ復旧大図鑑 – 自分で解決!ファイル復元
これは少し前の話ですが、僕が映像編集していた時に少しPCに負荷をかけすぎてしまって動画書き出し時に動画編集ソフトが落ちしてしまい、数時間かけて編集した内容が飛んだことがあります。
そのときは動画編集ソフトが自動的にバックアップしていたのですが、やはり最新の加工処理まではバックアップ保存されておらず、ソフトによる回復時にはある時点までの編集データの状態で復元されました。
復元されたときに思ったのはやはりある程度編集する時点毎にファイル保存をしておけば、こういったときにもう一度編集しなおすことは無かったのではないかと思います。
どんなときにもリスクアセスメント、起こりうる可能性に対しての対策は必要です。