110回目 ネットスラング「絵師」という呼び方が気持ち悪い
↓下の絵はお絵描きAIに描いてもらいました。
「絵師」
という言葉をご存知でしょうか?
絵師という言葉を聞いて普通の人であれば、「画家」「絵画作家」「芸術家」などの職業を思い浮かべると思います。
こういった人たちは現在の職業で言えば「イラストレーター」という職業で呼ばれるのが一般的だと思います。
そもそも絵師という言葉は、日本の歴史で見た場合だと「浮世絵師」や、伝統芸能の絵を描く専門職の、所謂「職人」のことを指す言葉です。
しかし、いつからかインターネットが普及し始め、SNSやイラスト投稿コミュニティサイトに自分で描いたイラストを投稿する活動をする人が、自分たちのことを「絵師」と名乗るようになりました。
この「絵師」という言葉を、インターネットやSNSなどで自称しイラスト創作活動を行う人達はたくさんいます。
ただ、この絵師という言葉を使っている人をネット上で見かけると、僕は
「恥ずかしいなぁ」
と思ってしまうんですよ。
だって、こういった人たちって「プロのイラストレーター」ではない場合が多いんですよ。
たとえばSNSを見ていると、
「絵師目指してる。」
「〇〇絵師やってます」
という言葉がSNSのアカウントプロフィール欄に書かれているがいるのですが、こういった人たちはあくまでも職業の「画家」「プロのイラストレーター」というわけではない、という印象です。
こういった人たちは職業として絵を描くことをしているのではなく、あくまでも趣味としてのイラストを描いてSNSに投稿する活動をしているようです。
プロではない、ということでつまりはアマチュアのイラストレーターさんなんですね。
こういった人たちが自分たちのことを「絵師」と自称するのが、なんだか僕として不快に感じるのでその理由について今回は書いていこうかと思います。
◯絵師≠イラストレーター
SNSや絵画コミュニティサイトに自分で描いた作品をアップするのは特に何とも思いません。
僕自身もSNSやpixiv、facebookなどに自分で描いたイラストを投稿したことはあります。
ただ、僕はそういったイラストの投稿をしていたとしても、自分自身のことを「絵師」であると自称したいとは思いません。
というか僕自身は自分のことをイラストレーターだとは思っていませんし、イラストレーターや絵師として活動する気はまったくありません。
ただ、絵を描くことは好きなので、たまに自分で描いた絵をSNSなどに投稿することはありますが、、、
↑僕の絵は主に「グリザイユ画法」という手法を使った絵の描き方をしています。
あとデジタル画を描くときに使っているペンタブは、基本的には「板タブ」というものを使っています。
↑液晶タブレットはイラストを描きやすいのですが、肩こりも起きやすくなってしまいました...。そのため2~3回使用したのですが今はもう使っておらずお蔵入りです。。。
話を戻ります。
「絵師」という言葉は、ある大学の研究所が提唱したものの中には、
『絵師とは、アニメや漫画などのポップカルチャーで発達した「目が大きく鼻や口が小さいイラスト」を描く人と定義できる』
と、言っている話もあります。
まぁ、僕の描く絵に関しては、そういったアニメっぽいイラストとはかけ離れているので僕自身を「絵師さん」と呼んでくる人もなかなかいないでしょうし、実際に「絵師」と呼ばれたこともありません。
たとえば、僕が好きな「イラストレーター」の人に紺野真弓 Mayumi Konno | Art
さんという画家の人がいるのですが、この人はれっきとした現代画家・作家という職業の人です。
おそらくなんですが、自称「絵師」さんたちはアニメ風な画風のイラストを描く人たちが名乗りたがる呼称の言葉なのかもしれません。
ただ、この「絵師」という言葉がややこしいのは、
「インターネット上に絵を上げている人であれば、どんな画風の絵を描く人でも当てはまってしまう」
という特殊な意味合いの呼称であるという点だと僕は思います。
◯イラストレーター ⇨「絵師」へ漢字変換し略語化
まず、「絵師」という言葉には定義がありません。
ましてや職業に「絵師」は存在していません。
ネットスラングとして、「イラストレーターの略称」という感じの言葉であると認識されているような言葉です。
つまりカタカナ言葉を無理やり漢字言葉に変換して略している、ということですね。
似た例で言えば、近年ではもはや使われることも少なくなった廃れた言葉だと思いますが、
こういったものと同じような流れで作られた造語だと思います。
つまり、ネット上でテキストとして打ち込む際にたった2文字の形で楽に入力が出来て、ネットユーザーのほとんどの人に意味が伝わるので使いやすい言葉ということなんですね。
たとえばX(Twitter)のプロフィール欄に、短い文章で自己紹介文を描きたい場合などに「絵師」という言葉を記述しておくだけで2文字で意味がわかりますよね。
「絵師やってます」
という内容のプロフィールであれば、「この人はイラストを描く人なんだな」と思う人が多いです。
しかし、「絵を描く」ことを仕事にしている人はこの略称言葉「絵師」を不快に感じている人も多いそうです。
この反対意見については僕としても同意で、正直言って「絵師」という言葉が俗語っぽいというかネットスラングのような感じで気持ち悪いです。
ネット上以外で、たとえばリアルでの知り合いや友達が、
「実はpixivやSNSで絵師活動をやらさせてもらっています」
なんて言い出した日にはその人から距離を置きたいです。。。
◯絵師よりは「絵描き」のほうがしっくりくる
絵師という言い方よりも、「絵描き」「絵描きさん」といった言い方をしたほうがしっくりくる気がします。
プロではない、趣味で絵を描くことが好きなタイプの人はイラストレーターとは呼べません。
とはいっても、そういうアマチュアの人を絵師と呼んだりするのも、個人的には「絵師」という言葉が気に食わないので使いたくはありません。
「お絵かき好き」「絵描き」
こういった言葉のほうが、そういった絵を描くことが好きな人達への呼称としてしっくりくる気がします。
逆に「絵師」という言葉がよく使われるのは、Pixivやニコニコ静画といったイラストコミュニティサイトのほうだと思いますね。
つまりは、
そういったpixivやニコニコ静画でのノリや文化を他所でも同じように使うな
ということです。
「TPOをわきまえろ」
と言いますよね。
「絵師」という言葉を使って、気持ちが良いと思う人もいれば「ウザい」と思う人もいます。
僕個人的な好みとしては「絵描きさん」という言葉のほうが良いですね。
「絵師」という言葉は本当に寒気がして気持ち悪いなぁと感じます。
それでは今回はこんな感じで終わりたいと思います。
また次回で。
ばいなら。